断捨離好きの私が決して捨てないマグカップ。
これは20代の頃、友人に招かれて訪ねた芸大の学園祭で購入したものだ。陶芸科の学生が制作したカップのなかから気に入ったものを選び、コーヒーを注いでもらって300円だったと思う。
気がつけば購入して30年余り経過し、ところどころ傷んでいる。山口時代に野外でお茶を飲んでいたら、落として割れて接着剤で修正した。だが捨てる気はない。次にどこか欠けたら金継ぎ教室に通って修正しようと思う。
それほど愛着があるのは手作り感あふれる外観もさることながら、母がこのカップでインスタントコーヒーを飲んでいた姿が思い出されるからだ。
母が亡くなって今日で29年(30回忌)。一緒に過ごした時間より居なくなってからの時間が長い。次第に母の記憶が現実だったのか妄想なのかあやふやに。
それでも飲食とセットになった情景だけは鮮やかで、現実だと確信できる。薄いインスタントコーヒーが香る思い出である。
スポンサーリンク